膣から丸いものがでてきた
骨盤臓器脱とは
骨盤にある臓器である子宮、膀胱、直腸などが徐々に下がってきて、膣から体外に出てしまう病気の総称です。
具体的には、膀胱瘤、直腸瘤、子宮脱、直腸瘤、膣断端脱などで、女性特有の疾患です。
膣から外に出てくる臓器は、子宮と思われがちですが、最も多いのは膀胱(65%)、ついで直腸(20%)、子宮(15%)の順番となっています。
骨盤臓器脱は性器脱ともよばれ、中高年女性の快適な暮らしを妨げる病気です。
骨盤臓器脱の原因→お産、肥満、便秘、喘息、立ち仕事
骨盤の臓器は骨盤底筋や靭帯などで支えられています。
お産や年齢を重ねていくと、この支えが緩み、子宮や膀胱、直腸が骨盤の中から膣に下がってきます。
それに加え、肥満や便秘、喘息や花粉症、仕事などでいつも重い荷物を持っている方は腹圧がかかりやすいために骨盤臓器脱になりやすいといわれています。
また、閉経による女性ホルモンの低下、子宮筋腫や子宮がんなどによる子宮摘出も原因となります。
骨盤臓器脱の症状について
▲ピンポン球のようなものが膣から出てきた
▲股間には何か挟まっている感じがする
▲排尿がしにくい
▲急に尿がしたくなり、我慢ができず、間に合わずに漏れてしまう
▲便が出にくい
▲膣壁が下着に擦れて出血
骨盤臓器脱の検査について
①問診
▲いつごろから、どのような症状があったのか
▲妊娠・出産歴、服用薬、既往歴、職歴、生活習慣(便秘、コルセット等の使用)など
②内診による病状の把握
どの部位がどのように下がっているのかを調べます。この時に、わざと咳をしたり力んだりしていただき、骨盤臓器脱の種類や程度を確認します。
③尿検査:血尿、炎症の有無などを確認します。
④超音波検査:腎、膀胱など尿路の形態を確認します。
⑤尿流測定、残尿測定:排尿障害状態を確認します。
骨盤臓器脱の治療について
保存療法
(1)骨盤底筋体操
軽度の下垂の場合には、骨盤底筋訓練で骨盤底筋群を鍛える体操で、進行を予防、脱出による痛みの緩和、尿失禁の改善が期待できます。
骨盤底筋体操は最低でも3ヶ月は継続する必要があるため、継続が大変ではありますが、合併症や副作用がないため安全です。
中等度以上の場合は、改善はほとんど得られません。
(2)ペッサリーリング
膣内にペッサリーリングを入れて、骨盤内臓器の脱出を防ぎます。あくまで補助的な矯正器具なので根本的な治療法ではありません。
3~6ヵ月毎の定期的な交換が必要です。膣内に炎症が起き、オリモノが増えたり、出血したりすることがあり、長期に継続できない場合があります。
手術療法
中等度以上で症状が強い場合は手術が適応になります。
(1)経腟メッシュ手術(TVM手術)
(2)腹腔鏡を用いた腟仙骨固定術 (LSC手術)